2026.10.11 194 11
栞のない午後
[Verse 1]
西日の棚に埃が光る
誰かの指が残した背表紙
読み終えた本は静かすぎて
少しだけ他人になっている
あなたが好きだった頁だけ
なぜか開き癖が残っていて
物語より先に思い出す
窓辺で笑った横顔を
[Pre-Chorus]
知るほどに遠くなるものを
知らないふりで抱えていた
言葉にすれば薄くなるから
今日はまだ閉じておこう
[Chorus]
栞のない午後を
どこまで読めばいい
続きのない一行が
胸の奥でまだ揺れている
忘れることと
失くすことは違うでしょう
頁を閉じても残るもの
それをたぶん
記憶と呼ぶのでしょう
[Verse 2]
貸出カードの古い名前に
もう会えない人の時間がある
同じ本でも読む人ごとに
少し違う世界になる
正しさだけを集めた棚は
どこか息苦しく見えたから
間違えた線も消さないまま
余白に小さく丸をつけた
[Pre-Chorus]
答えより先に残るもの
答えたあとで増える問い
わからないことをわからないまま
愛せる日もあるのでしょう
[Chorus]
栞のない午後を
何度も開いている
読み返すたび同じ言葉が
少し違って見えてくる
戻れないことと
終わることは違うでしょう
昨日の意味が変わるなら
過去もきっと
止まってはいないのでしょう
[Bridge]
閉館を告げる鐘が鳴る
窓の光が細くなる
まだ読みたい頁がある
でも今日はここまでにしよう
すべてを知ることより
知らないまま歩くこと
あなたがいない世界にも
まだ夕焼けは差している
[Final Chorus]
栞のない午後を
私は生きていく
続きがあるかどうかさえ
知らないままで頁をめくる
忘れないことと
縛られることは違うでしょう
あなたがくれた言葉たちは
私の中で
別の意味を育てていく
読み終えなくていい
きれいに閉じなくていい
人生なんてきっと
最後まで
未読を残すものだから
[Outro]
本を閉じる
光が残る
窓の向こうで
今日が暮れていく
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